book271(失業手当を貰いながら働く人)




■失業手当を受け取りながら働くことはできるが、、、。


ご存知のように、雇用保険に加入していると、退職した時に手当を受け取ることができますね。なお、失業手当とは、雇用保険の基本手当のことです。失業手当の正式名称は基本手当ですが、失業手当の方が一般に知られているため、以下の文では「失業手当」という名称を使用します。

雇用保険は失業のリスクに備えるための保険ですから、失業という保険金の支給事由が発生したことに応じて手当が支給されるのですね。つまり、「失業状態」と「保険金の支給」という2つの条件は同時に満たされていないといけないわけです。

ところが、雇用保険では、失業状態で失業手当を受け取っている状況であっても、「ある一定程度は」働いて報酬を受け取ることを許しているのですね。

本来ならば、失業というのは全くの無職という定義のはずなのですが、雇用保険では全くの無職というところまで厳格に定義は定めていないのです。つまり、ある程度の就業状態であっても失業として認めているわけです。

となると、「ある一定程度」とはどの程度なのか。また、「ある程度の就業状態」とはどの程度なのかが疑問となります。





■働いているかどうかは自己申告になっている。


雇用保険の失業手当を受け取るときには、"失業認定書"という書面を作ります。

失業認定書とは、今現在失業しているかどうか、求職活動をしているかどうか、活動をしているとすればどのような活動をしているかどうか、ということについて失業者自身で書く書面です。言わば、自分の現状について「本人がキチンと書いている」という前提で使われている書類なのですね。

ただ、この書面がキチンと書かれているかどうかは、チェックしようがないのですね。

まさか1件1件にわたって認定書の裏付けを取っていくという作業をするとは考え難いですし、担当者と失業者の人数では後者の人数の方が多いですから、全てをチェックするのは難しいのです。

ただ、失業中にどこかの会社で仕事をして、週勤務時間で20時間以上になると新たに雇用保険に加入するでしょうから、その加入したという事実でもって失業状態が改善されたと判断できますので、失業手当の支給は終わりです(ただし、再就職手当がある場合がある)。


ところが、週20時間を超えても雇用保険に加入する手続きをしなかったとしたら、上記の流れでは失業状態が改善されたと判断できません。

中には、失業中だけれどもフルタイム社員なみに働く「失業中の隠れ社員」のような人がいるのかもしれません。さらには、失業手当を受け取っている状態を維持するために、会社と「失業中の隠れ社員」が話し合って、雇用されている事実を表に出していないのかもしれません。

考え出すと切りがないですね。


バットで人を叩くことはできますが、だからといって人を叩くわけではないのです(バットはボールを打つための道具です)。

「できる」ということと「やって良い」ということは分けた方が良いですね。


 

山口正博 社会保険労務士事務所
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