book263(助成金と有給休暇が競合する)





■休暇か休業か。


今年の始め頃から、いわゆる雇調金や中安金と呼ばれる助成金がよく利用されていますね。

ご存知の方も多いでしょうが、この助成金は、会社都合で休業した場合に支給する休業手当をフォローするための制度です。

その制度を利用する会社の中には、休業すれば休業手当が支給されるといえども、100%支給の休業手当を除き、少なからず給与が減るので、有給休暇で休みたいと望む社員さんがいらっしゃいます。つまり、休業手当よりも有給休暇の方が給与の減りが少ないので、有給休暇を優先的に使いたいという要望ですね。


ただ、その一方で、「休むなら助成金を使って休んで欲しい(つまり休業扱いで休むということ)」と要望する会社があります。つまり、有給休暇を使ってもらうよりも、休業手当を支給して助成金のフォローを受ける方がキャッシュアウトが少ないので、「休むなら有給休暇ではなく休業で」と望むわけです。


ここで問題になるのが、「有給休暇を使いたいという社員さんの要望」と「有給休暇ではなく休業で休んでほしいという会社の要望」の衝突です。

この両者をどのように調整するかが今回のポイントです。






■あえて有給休暇にしなくても。


有給休暇と休業のどちらを優先させるかについては客観的な決まりはありません。

休業が絡むのではなく、有給休暇だけを単独で利用する場面ならば対応は分かりやすいのですが、休業と有給休暇が競合するとなると解決に工夫が必要ですね。


まず、有給休暇は"原則として"自由に使えるですから、たとえ休業を割り当てることができる日であっても、休暇を取得することはできます(ただし、休暇の日は助成金の対象にはならない)。

ただ、休業を使う方が会社にとって都合が良いと判断できるならば、「時季変更権」を利用して休暇ではなく休業を優先させることもできるでしょう。

休業として扱われると、有給休暇の場合と比べると報酬の取り分は減るのもしませんが、あながち不利とは言いにくいですよね。

会社が休みになって仕事をしていないのに、休業手当という名目で報酬が支払われるのですから、そう強く反対するものでもなさそうです。


ただ、どうしても休業ではなく有給休暇として扱ってほしいという要望があるならば、100%の支給率で休業手当を支給してしまうのもアリです。

支給率を上げれば、上限はあれども助成金の支給額も増えますので、会社にとっても不都合ではないのではないかと思います。




 

山口正博 社会保険労務士事務所
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