book262(所定労働時間で勤務するならば、変形労働時間制度はいらないはず)




■毎日決まった時間で勤務しているのに、なぜか変形労働時間制度を使う会社。


変形労働時間制度とは、1日8時間、1週40時間という枠を変形させて、1日8時間を超えて、また、1週40時間を超えて勤務することを可能にする制度ですね。つまり、1日9時間として勤務時間を事前に予定していれば、1日9時間までは法定内の勤務として扱えるわけです。

ところが、1日の所定労働時間が8時間と決まっている会社で、時間外勤務が若干発生するとして、だいたい8時間少々で勤務を終えている会社で変形労働時間制度を採用しているところがあります。

法定労働時間の枠を変動させる必要もなさそうな環境なのに、なぜか変形労働時間制度を採用していたりします。


ほぼ定時で仕事が終われる環境ならば、変形労働時間の仕組みは必要ありません。


面白いことに、1日8時間の枠を守りながら変形労働時間制度を採用している会社もあります。

法定労働時間の枠を変形させるのが変形労働時間制度の旨味なのに、1日8時間の枠を守るのでしたら、何故に制度を採用しているのか意味が分かりません。

1日8時間の枠を守れるのでしたら、原則通りの時間管理で足りるはずです。






■法定労働時間の枠を変形させたいときに使うのが変形労働時間制度。


変形労働時間制度というのは、本来、時間外手当を節約する目的で使うような仕組みではなく、特定の日や特定の週によっては勤務時間が変動してしまうような仕事を行っているときに使う仕組みなのですね。

例えば、第2週は時間外勤務が多くなりそうで、第3週は残業なしで働けるだろう、というような見通しができる環境ならば、変形労働時間制度を採用する利点があります。

しかし、特に日や週で勤務時間が変動するようなこともなく、「毎日、毎週、勤務時間は特に変わりなく勤務していますよ」という環境でしたら、変形労働時間制度は必要ないです。


ゆえに、毎日、毎週、時間に変わりなく勤務する環境ならば、とりたてて変形労働時間制度を採用する利点もないのです。例えば、1日8時間(ここに時間外勤務が若干加わると仮定)で勤務し続けているような環境ならば、変形労働時間制度は必要ないです。

時間外手当を減らそうという目的で変形労働時間制度を使うこともあるようですが、毎日8時間を超えて勤務しているならば、固定的な勤務時間だけで法定労働時間の総枠は埋まってしまうでしょうから、時間外部分を変形労働時間で逃がすこともほとんどできないはずです。


今日は8時間、明日は5時間、明後日は7時間というように変動したり、第1週は38時間、第2週は46時間、第3週は41時間というように変動したりする環境でないと変形労働時間制度の旨味を引き出せないはずです。

大雑把に言えば、「こっちで減らしたから、あっちでは増やそう」という仕組みですね。


ましてや時間外手当を減らす目的で変形労働時間制度を使っても、ほとんど効果は期待できないです。




 

山口正博 社会保険労務士事務所
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