book257(労働基準法67条はちょっと変です)




■義務だけれども、実現できる義務なのか。


労働基準法の第67条には、
「生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる」

と書かれています。

つまり、通常の休憩時間とは別に、育児専用の時間を利用することができるという内容ですね。


ただ、「1回30分、1日2回」という設定を考えると、何か違和感を感じないでしょうか。

30分で育児を行うことが本当にできるのでしょうか。


想像して下さい、仕事場で30分の育児時間を貰ったとして、一体何ができるのでしょう。


育児時間を利用したい人のすぐそばに育児の対象となる子どもがいるのでしょうか。

その人は仕事場に子どもを連れてきているのでしょうか。

それとも、社内託児所のような施設があるのでしょうか。

変な感じがしませんか。





■近くに子どもがいる状態で仕事をしているとは限らない。


端的に指摘すると、育児時間は会社に社内託児所が無ければ使いにくいのではないか、と私は思うのです。


たとえ1回30分の育児時間を貰っても、社内託児所のように、すぐ近くに子どもがいなければせっかくの時間も活用できませんよね。

確かに、育児時間の設定は労働基準法で「義務」にはなっていますが、そもそもとして使えないのではどうしようもありません。与えても使いようがないわけです。

つまり、職場のすぐ近くに子どもがいるという前提で、この制度は設計されてしまっているのですね。これは制度の欠陥ではないでしょうか。

時間を与えるという発想は良いが、与え方が上手ではないのですね。

義務と言われても、実現できないのでは会社も義務を果たせませんからね。

子どもに会えない状況で、「さあ育児時間ですよ」と言われても、本人はポカーンとするしかありません。子どもと電話でお話しするぐらいでしたらできるのでしょうが、それでは育児とは言えませんよね。


となると、労働基準法67条は、社内託児所の施設がある会社では有効に機能するかもしれないが、そのような施設がない会社では十分に機能しないかもしれないわけです。


そこで、会社で育児時間を用意できる用意があるならば、勤務時間を短縮することで代替することも考えてはいかがでしょうか。

育児時間を活用できないならば、他の手段でフォローをかけるのですね。

例えば、2回で60分の育児時間の分だけ、勤務時間を短縮してしまうのも手ではないかと思うのです。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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