book163(任意で資格喪失できる社会保険がある)






■任意脱退できないのが原則。


雇用保険や労災保険、健康保険や厚生年金などの公的な保険制度に共通することは、「任意でやめることができない」という点です。

例えば、あまり病院に行くことはないから、健康保険から脱退したいと思っても、脱退できないんですね。


他にも、雇用保険から脱退したり、厚生年金から脱退したり、国民年金基金や確定拠出年金から脱退したり、これらは「原則として」できない仕組みになっています(例外的に、脱退一時金の仕組みがある制度もあり)。



しかし、上記の原則に外れた例として、「任意継続の健康保険」の場合だけは自主的に脱退ができるんですね。


確かに、任意継続の健康保険は、任意で継続している保険なのですが、任意で脱退できないというのが前提です。

ただ、他の制度とは違い、加入者が自主的に脱退する余地があるのです。







■「できるのに、できない」と言うのが建前。


任意継続の健康保険制度では、「途中で任意に資格を喪失することはできません」と決められています。

具体的には、保険料を期日までに支払わないと、支払期日の翌日に資格を喪失するというルールがあります。


そこで、このルールを使えば、「実質的に」被保険者の資格を任意で喪失できることになりますよね。


任意継続の健康保険は保険料が2年間ずっと同じですから、1年を経過した後は、所得の実績ができますので、国民健康保険するのも1つの選択肢です(ただ、収入が前年度よりも増加した場合は、そのまま任意継続した方が良いかもしれません)。


考えると、健康保険の任意継続被保険者制度は、任意で脱退する仕組みをあえて準備している特殊な社会保険ということになりますね。



任意で資格喪失できる手段をわざと残しながらも、「途中で任意に資格を喪失することはできません」と言っているのが、何とも白々しい感じがしますよね(笑)。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所