book161(残業が多くなっただけで随時改定はしない)





■固定給部分は変わらないが、時間外手当が多くて2等級の変動になる?



例えば、直近の3ヶ月間は、時間外の勤務が多く、時間外手当が他の月よりも多く支払われていたとします。


そのため、3ヶ月間の平均報酬月額を計算すると、報酬月額等級表に照らして2等級だけアップしていたとしましょう。

この場合、随時改定を利用して標準報酬月額を変更しなければいけないのでしょうか。



確かに、月毎の報酬月額は多くなっていますから、計算上は2等級の変動に該当するのかもしれません。


しかし、変動の要因が時間外手当であるというのが気にかかりますよね。

月ごとに支給額が変わる時間外手当がたまたま多かったからといって、随時改定を行うのでしょうか。

そうは言っても、報酬月額は現に増えているのだから、やはり随時改定をすべきとも考えれます。







■随時改訂では「固定部分の変動」がキモです。


結論を言えば、時間外手当が一時的に増加して随時改定の条件に該当したとしても、随時改定は実施しません。


なぜならば、時間外手当は固定的な賃金ではないからです。



ちなみに、固定的賃金とは、

基本給・家族手当・役付手当・通勤手当・住宅手当など【稼働や能率などの実績に関係なく、月単位などで一定額が継続して支給される報酬】

です。



となると、時間外手当は月毎に支給額が変わりますので、固定的な賃金ではありませんよね。

ゆえに、時間外手当が一時的に増加して、随時改定の条件に該当しても、随時改定はしないというわけです。



ただ、定額の時間外手当を支給している会社も少なからずあるようですが、実際の時間外勤務と同等もしくはそれ以上の手当を支払っていれば、固定的賃金に該当するかもしれません。

ただ、時間外勤務の時間数は月ごとに異なるのが通常ですから、手当の額が固定であっても、固定的賃金ではないと判断される可能性はあります。


また、たとえ定額の時間外手当であっても、時間外勤務の時間数が増えれば、時間外手当の額を増額しなければいけませんから、変動余地がない賃金とは言い切れないですよね。



ゆえに、「変動の余地がない賃金は固定的な賃金に該当する」と考えれば良いのではないでしょうか。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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