book153(時間単位の振替勤務を時間外手当を免れるために使うのはダメ)



■今日の1時間を明日に回す。


今日は1時間だけ長く勤務して、明日は1時間だけ短く勤務する。

時に、そんな振替勤務を実施する場面がありますよね。



例えば、今日9時間勤務して、明日は7時間勤務するという場面です。


ただ、今日の1時間分を明日の1時間減と相殺することで、両日とも8時間勤務と考えることはできるのでしょうか。



つまり、今日の1時間を明日に回すことで8時間勤務と扱い、明日は前日の1時間が加わるので実質は8時間勤務になるということですよね。

こうすれば、今日の時間外勤務は無しにできそうとも思えます。

しかし、そう簡単に事は進むでしょうか。








■時間単位の振替はできるが、手当は必要。


1日8時間というのは、「その日ごとに判断する」ものです(変形労働時間制度を除く)。

それゆえ、今日、9時間勤務したとするならば、1時間は時間外ですよね。

「明日は7時間勤務にするから、今日の1時間の時間外勤務と相殺しよう」というわけにはいきません。



ただし、「今日の時間外勤務である1時間」を「明日の1時間減」と振り替えること事体はもちろん可能です。

ただし、9時間勤務した日の時間外手当は支給します(1時間分を振替えたとしても手当は必要です)。

「2日を通算して1日あたり8時間だから、時間外手当は不要だよね」とはなりません。



1時間分の時間外手当がキチンと払われているならば、「今日は9時間勤務だから、明日は7時間勤務にします」として取り扱うのはOKです。

要するに、時間外手当の支給を免れようとするために、時間単位の振替勤務を利用するのがダメなだけであって、時間単位の振替勤務そのものを否定するものではありません(考えれば、当然ですよね)。



ちなみに、今回の「時間単位の振替勤務」を考えるときに、「振替休日」を意識してしまうと間違って考えてしまうかもしれませんね。

時間単位の振替勤務というのは振替休日とは別物ですので、混同すると判断を誤ります。

今回は振替休日を考える場面ではないということです。




 

山口正博 社会保険労務士事務所
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