book145(出勤停止に有給休暇を充当するのは妥当か)



■会社の判断で出勤停止させ、会社の判断で出勤停止日に有給休暇を充当する。


ある社員さんが罹患している感染症(麻疹など)の拡大を防ぐために、会社の判断でその社員さんを出勤停止させた。


その場合、会社の判断で、出勤停止した日に有給休暇を充当するのは妥当なのでしょうか。


出勤停止になると、その分だけ給与が減りますよね。

そのため、有給休暇を出勤停止日に充当することで、給与の減りを緩和しようというのが狙いです。



しかし、会社の判断で有給休暇を充当してしまうのは良いのでしょうか。


通常は、有給休暇を使うには、社員さんの申請が必要ですよね(休暇の取得申請ですね)。


にもかかわらず、会社の判断で有給休暇を使うかどうかを決めてしまっているわけです。




ただ、今回の場合、会社が社員さんのためを思って、有給休暇を充当してあげたとも考えられます。

つまり、出勤停止になれば少ないながらも給与が減ってしまうから、何らかのフォローが必要だと会社が考えるわけです。


そこで、本来ならば有給休暇を使えない場面(出勤停止だから労働義務がなくなる)にもかかわらず、あえて有給休暇を使えるようにしてあげたと判断できます。

会社側の配慮なのですね。



ならば、

「たとえ社員さんのためであっても、勝手に有給休暇を充当すべきではない」と考えるのか、

それとも、

「社員さんのために役立つ配慮だから、禁止しなくてもよい」と考えるのか。



どちらでしょうか。








■「社員さんの便宜をはかるため」ならば、有給休暇の充当も不当とは言い切れない。


私の立場は後者です。

つまり、「社員さんのために役立つ配慮だから、禁止しなくてもよい」という立場です。




一般に、社員さんからの申請があってはじめて休暇は使えるのであって、会社の判断で有給休暇を付与することはできないのが原則です。



ただ、有給休暇を充当することが社員さんにとって望ましい場面ならば、会社の判断で有給休暇を付与することは必ずしもダメとは言い切れません。


例えば、病気(入院等を要しない風邪など)や怪我で、1~2日ほど休む場合を想定すると、この休んだ日には有給休暇を充当したいと考えるのが通常ですか ら、本人からの申請を待たずに会社の判断で有給休暇を欠勤した日に充当しても、休んだ本人にはほとんど不利益がないわけです。

私も以前に、上記の様に扱ってもらったことがあります(有り難かったです)。



ただ、別の用途で有給休暇を使う予定があるならば、欠勤への休暇の充当処理は避けたいところですよね。

例えば、旅行で連続有給休暇を使う予定の人にしてみれば、休暇の充当はして欲しくないと考えるかもしれません。



この場合には、会社は、割り当てた有給休暇を後から取り消すべきですね。




山口正博 社会保険労務士事務所
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