book144(有給休暇が付与された後、すぐに退職する場合でも休暇を全て使えるか)



■休暇を付与された後に退職します。


退職する人の中には、「有給休暇が付与されて、しばらくしたら退職します」という方もいますよね。

せっかくだから、休暇が付与されるまで在職して、休暇が付与された時点で退職しようというわけですね。


ただ、退職する予定の社員さんにとっては、「すぐに退職するのだから、さすがに休暇の全部を使うことはできないのではないか」と思うようです。

一方、会社にとっても、「休暇を付与されてすぐに辞めるんだから、例えば、月割りで休暇を減らすなどという対処をしても良いのではないか」と考えるようですね。


原則として、有給休暇の条件は、「出勤率」と「勤続期間」の2つだけです。

にもかかわらず、「休暇を付与された後の退職」まで条件に含めても良いのでしょうか。







■過去は考慮するが、未来(将来)は考慮しない。


結論から言えば、有給休暇を付与されてすぐに退職するとしても、付与された全ての休暇を使うことは可能です。

有給休暇の条件は、「出勤率」と「勤続期間」の2つだけですから、この条件よりも厳しい条件を設定するのは労働基準法のラインを下回りますので、ダメです。

つまり、「休暇を付与された後の退職」まで条件に含めるのはいけません。



ただ、会社としては、休暇を付与されてすぐに退職するならば、休暇の日数を減らすことも可能なのではと思う場合もあるようですね。


その場合は、賞与について考えてみると良いかもしれませんね。


例えば、賞与を受け取ってすぐに辞めるという社員さんがいるとしても、条件(査定期間や支給日など)を満たした上で賞与を受け取っているならば、賞与を減らしたり、不支給にしたりはできませんよね。

「賞与をもらってすぐに辞めるんだから、賞与を一部カットする」ということにはならないはず。


ならば、有給休暇を付与されてすぐに退職する場合も、上記の賞与と同じように考えてみると分かり易いでしょう。



ゆえに、休暇を付与されてすぐに退職することが分かっていても、休暇の日数を減らしたり、休暇自体を与えないとすることはできないのです。



山口正博 社会保険労務士事務所
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