book132(「休業手当は60%」だと当然に思ってはいけない)




■60%を超える休業手当もある。


一般に、「休業手当は平均賃金の60%である」ということは皆さんご存知の通りです。

労働基準法の26条に書かれていますね。



しかし、場合によっては、「休業手当が100%」になることもあります。

つまり、休業していても、全額の給与を支払うという場面ですね。


「いかなる場合も平均賃金の60%を支給すればよい」と誤解していると、困ることもあるようです。


就業規則に不備があれば、企業に対して100%の休業手当を請求することも不可能ではありません。







■民法を使うと、休業手当が100%になることもある。



民法の536条2項では、

債権者(会社と読み替えて下さい)の責めに帰すべき事由によって債務(給与の支払いと読み替える)を履行することができなくなったときは、債務者(社員と読み替える)は、反対給付(給与と読み替えて下さい)を受ける権利を失わない

と書かれています。


この法律を根拠にして、休業手当100%を請求するということになるのです。



ただし、民法を根拠に請求するのですから、実際に手続きするとなると、民事訴訟の手続きが必要になりますよね。


休業手当は、100%支給されたとしても、数万円から数十万円程度ですから、訴訟費用を賄うと、費用倒れを起こすこともあるでしょう。

ですから、現実には、100%の休業手当は請求できない(費用面で困難)ということになります。


それゆえに、労働基準法の26条によってフォローがされているんですね。

労働基準法だと、社員さんは訴訟を起こす必要もありません(通常は)から、民法の536条2項よりも確実に、60%の休業手当を回収できるんですね。



ですから、「休業したら、どんな場合でも60%を支払えばよい」と決めつけてしまうのは、必ずしも正しくはないということです(実際には、100%の請求が難しいとしても)。


山口正博 社会保険労務士事務所
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