book96(口頭だけで雇用契約を結んではいけない)





■口頭で説明しただけで雇用契約を締結することは可能ですが、、。


人によっては、お互いに簡単な会話を交わしただけで、雇用関係を成立させることがあるようです。


私も経験がありますが、親戚や知り合い、友人の紹介で会社に雇用されるときというのは、得てして会話だけで契約が成立しがちです。


「細かい事を言ったら嫌がられそう、、、」というのが当事者の心理のようです。


確かに、お互いに信用できる間柄ならば、口約束だけで雇用関係を成立させるのも悪くはないでしょう。



ただ、口約束の雇用関係ほどトラブルが起きると対応しにくいものです。

親しい間柄で紹介してもらった仕事なのに、そうそう簡単に文句は言えませんからね。


ゆえに、口頭ではなく「文書」で雇用関係は補強しなければいけません。






■契約は「見える形」に変えておく。


本来、雇用契約を締結する際には、文書で伝えるべき事柄もありますので、口頭だけで契約を締結するのはダメです。


しかし、現実には口頭だけで契約が成立します(私的自治の原則により)。


ただ、口頭だけでは契約は「見えないまま」ですから、後から参照する事ができませんよね。


そこで、契約を「見えるようにする」必要があるわけです。





例えば、


「雇用契約の期間」
期間を定めた契約なのか、それとも期間を定めずに契約を結ぶのか。

「就業場所」
どの事業所で働くのか。本社かそれとも支社か。飲食店ならば、どこの店舗かなど。

「従事すべき業務」
営業、経理、商品企画、ホール業務、キッチン業務などなど。

「所定労働時間を超える労働があるかどうか」
時間外勤務はないのか、それとも、仕事の進行度合いに応じて実施するのか。


以上のような点は、文書で伝えるべき内容です。



他にも、

休憩時間や休日、休暇についてもキチンと伝えないといけませんし、賃金の締め日や計算方法、支払の方法、支払の時期も大切な情報です。


文書で伝えるべきことを口頭で伝えるのはダメですが、文書で伝える必要のない事柄をあえて文書で伝えるのは構いません。



ですから、雇用の条件は全て文書に盛り込んでしまうのが良いのかもしれません。

文書の方が説明の手間も省けますからね。



ただ、会社の就業規則で書かれている内容を、あえて雇用契約書で重ねて記載する必要は必ずしもありません。


雇用契約書と就業規則で共通している内容もありますから、雇用契約の時点では、文書で明示すべき事柄に限定して示しておき、残りの部分は就業規則に任せるのも便利ですね。


当然ですが、雇用時に示さなかった事柄の説明を就業規則に任せるならば、雇用契約を結んだ時点で、就業規則のコピーも配布して下さい。

コピーの体裁は紙でも電子データでも構いません。


就業規則のコピーをホッチキスで留めて配布するのも良いですし、就業規則の文書データをメールで配布するのも良いでしょう。


会社のイントラネットにアップしておくという方法も便利ですよね(当然ですが、就業規則の閲覧を希望する社員はイントラネットのアカウントを持っているという前提です)。


さらに言えば、入社時に、就業規則の内容について説明会を実施すれば、なお良いですね。



山口正博 社会保険労務士事務所
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