book63(会社の有給休暇時期変更権を制約する)


■時期変更権はいつでも使えるべきか。



有給休暇制度には時期変更権がある、ということは多くの方がご存知の通りです。


業務上どうしても休暇を取ってもらっては困るという時に時期変更をするわけですよね。



ただ、この時期変更という権利を、どんな時でも会社が使える状態にしておいて良いのでしょうか。


いつまでも、どんな時でも時期変更できるとなると、社員さんにとって困った事態になることもあるのではないかと私は思うのです。







■無制約だと権利は行き過ぎる。



一般に、労働基準法は労働者保護法ですので、社員さんを守る機能はありますが、会社を守る機能はありません。


とすると、社員さんの権利を制約する試みはストップがかかりますが、会社の権利を制約する試み
にはストップはかからないということになりますよね。

(もちろん、あまりに極端な制約はいけませんが)




有給休暇の時期変更権というと、

大半の就業規則では、


「申請された有給休暇は、会社の判断により、その時期の変更を求めることがあります」(もっと上手く書けるのでしょうが、お許し下さい)

というように書かれているかと思います。


このように書かれているだけだと、実際に有給休暇に入るまで、いつでも時期を変更できるという解釈ができてしまいますよね。



例えば、ある社員さんが有給休暇(4日連続の休暇と仮定してみます)を利用して旅行に行こうと考えていたとします。


その後、休暇の前日になって、「さぁ、明日から休暇だぁ~」と思っている時に、「明日からの休暇の時期を変えてもらえないか?」と
会社から要求されたらどう思うでしょうか。


休暇の前日ですから、旅行の手配はもう済んでいるはずですし、旅行代金も支払って、航空機や宿泊施設のチケットも手に入れて、持っていく荷物も準備して、、、

もう気持ちは旅行気分なはずですよね(笑)。


にもかかわらず、土壇場になって、休暇の時期を変えてくれとなると、社員さんも困ってしまいます。


もちろん、実際にこんな場面になれば、会社は遠慮して、休暇時期の変更はしないでしょうが、社員さんとしてはちょっと心配ですよね。



そこで、有給休暇の時期変更にルールを設けるのも一考です。



例えば、


「有給休暇の時期変更を行うときは、当該休暇の初日より2週間前に時期変更の通知をします」

とか

「3日以上の連続した有給休暇を申請した時は、会社の時期変更権は利用できないものとします」


というような制約を事前に課しておく(就業規則に記載しておく)のはいかがでしょうか。

もちろん、上記以外にも会社独自で工夫する余地はまだあると思います。



このようなルールがあれば、安心して長期休暇を利用できるでしょうし、今までよりもキチンとした有給休暇制度を作れるのではないかと思います。

山口正博 社会保険労務士事務所
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