book40(無届けで変形労働時間制を使ってはいけない)


■独断で使えない仕組み


勤務時間には「1日8時間、1週40時間」という制約があるのですが、変形労働時間制を使うと、この制約を緩和することができるということはご存知の方もいるでしょう。



例えば、1年単位の変形労働時間制を使うと、1年間(365日)で勤務時間をならすことができますので、たとえ1週40時間を超えていたとしても、時間外扱いにはならないのですね。



ただ、時に、「変形労働時間制は労働基準法で決められている仕組みだから、使ってもいいんだな」と勝手に判断してしまう会社があります。

確かに、変形的な労働時間の管理は労働基準法で認められていますから、使っても構いません。


しかし、何らの届けも無く使うことはダメです。

勝手に採用して、勝手に運用してはいけない仕組みなんですね。






■36協定と変形労働時間制の届出が必要。


変形労働時間制を採用するには、「36協定」と「変形労働時間制に関する協定等」が必要です。

それ故、手続き無しで変形労働時間制を「正式に」使うことはできないということです。


もちろん、届出無しでも変形労働時間制を現場で使うこと自体は可能です。

しかし、届出のない変形労働時間制は正式な制度とは認められませんので、労働基準監督署から指導(是正勧告)を受けます。

また、労働基準法違反の状態だと助成金も利用できませんから、会社も困るはずです。



1年単位の変形労働時間制の例を挙げると、

例えば、月~土まで勤務で、1日7時間勤務とすると、週42時間になります。


この場合、通常だと2時間の時間外になるのですが、1年単位の変形労働時間制を使っていると、状況は変わります。


仮に、1年の勤務日が288日とすると、7時間×288日=2,016時間になります。

2,016時間÷365日=5.52時間/日(1年間で勤務時間をならす)

5.52時間×週6日勤務=週33.12時間勤務

となり、約33時間ですから週40時間以内になり、法定時間内の勤務と判断されるわけです。


また、1年単位の変形労働時間制を使っていると、時間外勤務をしているという意識が薄れますので、36協定は不要なのではと思えてしまうようです。


しかし、36協定は、変形労働時間制に関わり無く「1日8時間、1週40時間」を超えているかどうかで必要かどうかが決まりますので、1年単位で法定内の勤務になっていても、必要になる協定なのです(これは、現状の勤務状態にかかわらず36協定を出してもらうための口実です)。



ゆえに、36協定と変形労働時間制はセットで届け出ることになるわけです。

くれぐれも、独断で変形労働時間制を使わないようにしてくださいね。

山口正博 社会保険労務士事務所
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