book21(有給休暇の取得を就業規則で制限できるか)


■ある会社では、「7月15日~8月15日の間は繁忙期のために、有給休暇を取得することはできない」と就業規則で定められている。

この前提の上で、ある社員が7月15日に退社することになった。さらに、その社員は有給休暇を30日残している。

社員の希望では、退職後に有給休暇の30日を消化したいとしている。しかし、会社の就業規則では、「7月15日~8月15日の間は繁忙期のために、有給休暇を取得することはできない」とされており、社員の希望と衝突する。




■原則として、有給休暇は理由を問われること無く、自由に利用できるはずです。


しかし、会社の都合で、どうしても有給休暇を取得されて困る時期の場合、条件はあるものの、有給休暇の時期変更権を行使することができる。



■今回の会社は恐らくデパートやアミューズメントパークを運営する会社ではないかとすると、、、。

ならば、、「7月15日~8月15日の間は繁忙期のために、有給休暇を取得することはできない」とするルールにも理由のあることと思われる。この時期は、お盆の時期になりますので、お中元や観光客への対応で多くの人員が必要になるでしょう。

上記規定が、時期変更権の行使の一態様であると解するならば、妥当な規定であるとも言える。



■しかし、社員のとっては、有給休暇の取得を制限されていることに納得できない。

まして、「事前に」就業規則規則上で、有給休暇の取得を制限するのはいかがなものかと思える。

さらに、7月15日~8月15日という1ヶ月間も制約するのは行き過ぎではないかとの主張も展開できそうです。

例えば、7月20日~30日などのように、10日間だけ制限するとか、若しくは、14日間の制限とかのように、制限期間を短縮すべきとも言うことができる。お盆の時期だけ、有給休暇の取得を控えて欲しいということですね。




■どちらとも理由のある主張であり、どちらが勝ってもおかしくないケースです。

今回の、就業規則による有給休暇の取得制限は、必要な限度で課されたものであり、社員側にて受忍することが可能なレベルであろうとの解釈や主張も展開できます。


私の意見では、有給休暇の取得制限期間を14日程度に短縮すべきではないかという意見です。
1ヶ月の制限期間は少し長いのかなぁと思っています。

有給休暇なのだから、就業規則で制約はできないという一点張りでも良さそうですが、それではバランスを欠く結論になります。実務では、会社の都合も斟酌しないといけません。



■今回のケースでは、社員側で、有給休暇の取得時期をずらすのも一つの方法です。つまり、7月15日からではなく、繁忙期を避けて、8月16日から取得していけば良いとの考えもあります。


有給休暇の取得を就業規則で制限することは、相応の制約の下で、可能ではないかと考えています。

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所