book 6(生活保護化する公的年金)

■生活保護と公的年金の境界線は?

公的年金の財源を保険料から税金へシフトさせる、という案が国会などで議論され、ニュースでも報道されている。確かに、税金でもって年金の財源に充てれば、いわゆる「未納問題」は完全に解消するであろう。

しかし、私は、年金に税金を充当することに反対である。なぜならば、年金と生活保護は、違うものだからである。税金を充当してしまうと、年金は生活保護制度と同様の制度になってしまう

税金を投入して何とか年金制度を安定させたい思いはわかる。国民年金の保険料未納問題、それによる厚生年金加入者への負担。国庫負担割合の増加。いずれの点も考慮すべきではある。

年金制度は、老後の生活を安定させるためのものである。最低限度の生活を保障するための制度ではない。自分で払った保険料を将来の時点から、取り崩して受け取るのが年金である。そのため、少ない保険料しか払えなかった人は、低年金。多く保険料を払った人は、高年金となる。ゆえに、高額所得者から低所得者への所得移転は、年金制度の目的ではないのである

厚生年金は、保険である。厚生年金の正式名称は、「厚生年金保険法」というが、保険というものの性質を考えて欲しい。死亡保険でも、保険料を払わなかった人には、当然だが、保険金は支払われない。つまり、保険料を払えない人は、保証されないのである。

山口正博 社会保険労務士事務所
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