book 4(公的年金)

■持続可能な年金制度?

保険料を上げる。年金給付を下げる。さあ、どっち。

こんな二項対立で議論が進むことが多い。もちろん、間違った議論ではなく、妥当なものである。しかし、この議論は、あくまで「現状の年金制度を維持する」という前提に立って行われているのである。では、この前提は議論されなくても良いのか。

現在、高齢者の多くは年金支給に依存している。収入のほとんど、もしくは、全部が年金という人も多い。だから、年金制度は必要だ。確かに、良くわかる。
だが、頼るべき制度が必ずしも公的年金でなければいけない、訳ではない。安定した収入先があれば、高齢者の生活は安定する。言いたいことは、国民年金や厚生年金が全てではないということだ。

年金改革と言えど、税方式にするか、保険料方式にするか、という点でしかない。あくまで、国が主導で年金をやりますよ、ということだ。年金記録問題は、国が年金制度を一手に引き受けていたから起きたのではないか。全員で公的年金という一つの投資信託商品に資金を一極集中させたため、運営主体である国がトラブルを起こすと、全員がパニックになってしまう。

公的年金を否定するわけではないが、もう少し選択肢というものがあってもいいのではないか。年金制度を国で一括して運営するのではなく、確定拠出年金制度等の制度をもっと拡張して、「国のコントロールから国民のコントロール」へと変えていくべきではないか。そのために、公的年金制度の母体を縮小して、自主運営型の確定拠出年金制度にシフトしていくことが望ましい。

 確定拠出年金制度は、自己責任の制度であると言われる。資産運用の知識に乏しい日本人には不向きではないかとの指摘もあろう。しかし、責任には自由が伴う。一方で、責任を放棄すれば、現状の年金制度のように自由を失う。

 責任を取って、自由を取るか。責任を取らず、自由を放棄するか。

 自由の価値をどう評価するかによって決まるであろう。



山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com

© 社会保険労務士 山口正博事務所