book425(待機期間に有給休暇を使うとどうなる)





■待機も仕事?



保険制度から何らかの給付を受けるとき、数日の待機期間が設けられていることがありますね。

例えば、健康保険の傷病手当金や雇用保険の基本手当の待機期間がよく知られているところです。他にも、休業している期間を待機期間と表現する場合もあるようです。休業は休業期間と表現するのが正式なのでしょうが、休業の実態が待機と同じなので「休業期間=待機期間」と解釈されているのかもしれません。


そこで、待機期間に有給休暇が使えないのはおかしいのではないかと思う人がいらっしゃるようです。

有給休暇は自由に使えるのだから、たとえ待機期間であったとしても使えるだろうと思ってのことなのでしょうね。確かに、社員さんが自ら進んで待機しているわけではなく、会社からの指示で待機しているのですから、休暇を使うことはできるだろうと考えるわけです。

なお、上記の待機期間は休業期間と同じ意味で使っており、「待機中は休暇が使えるかどうか」という表現は、「休業中は休暇が使えるかどうか」という表現と同じです。






■実際に仕事をする日なのかどうかで判断する。



周知のことですが、「有給休暇は仕事をする日に割り当てることができる」のが原則です。反対に表現すると、仕事をしない日に有給休暇を割り当てることはできないのですね。

上記の原則に沿って考えると、待機している日には有給休暇を割り当てることはできないと判断するのが正しいのですね。さらに、待機=休業なのですから、待機日には仕事をしないはずです。


また、休業に絡めて助成金を受け取るならば、有給休暇を取得した日は休業した日として扱えません。

待機ということは仕事日ではないので、有給休暇は充当できないのが原則ですが、当事者(企業と社員)の任意で有給休暇を充当することは可能です。しかし、待機日(休業日)に
有給休暇を割り当ててしまうと、その日は本来は勤務日だったと解されます(勤務日にしか有給休暇を割り当てられないという原則のため)ので、助成金の支給対象になる休業日ではなくなります。

休業と有給休暇を重ねること自体は可能なのですが、助成金の対象からは外れるのですね。もちろん、助成金を利用せずに休業を実施するならば、休業手当を支給しながら有給休暇の賃金も併せて支給しても差し支えないでしょう。しかし、助成金を利用するならば、休業と有給休暇が重ならないようにしないと、助成金の支給対象になる休業として扱えません。


端的に表現すると、休業と有給休暇はトレードオフなのです。

休業した日には有給休暇は充当できませんし、有給休暇を取得した日が休業になることもない。片方を選択すれば、もう片方は選択できません。有給休暇を取得したということは、その日は勤務日なのですから、休業にはならない。一方、休業したということは、その日は勤務日ではないのですから、有給休暇を取得できないのですね。

ゆえに、両者が同時に成立することはないのですね。